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ミケルナ配合点眼液に含まれるゲル化剤“アルギン酸”および界面活性剤について [緑内障治療薬]

ミケルナ配合点眼液に含まれるゲル化剤“アルギン酸”および界面活性剤について

緑内障治療剤“ミケルナ配合点眼液”が発売開始となりました。

既存で発売されている同類の配合点眼液との違いはミケルナ配合点眼液に“ゲル化剤”が含まれていることです。今回は配合点眼液とゲル化剤について調べてみました。
ゲル化剤を含む点眼剤の投与順




眼科用剤のゲル化剤について
~ゲル化剤とは~
・眼内でゲル化する成分のこと(ジェランガム、メチルセルロース、アルギン酸など)
・点眼後に眼表面でゲル化することで点眼薬に徐放性能をもたらすことができる成分
・眼表面の涙液と接触することでゲル化する(点眼前の容器に入っているうちはゲル化しない)
・他点眼剤と併用する場合はゲル化剤を含む点眼薬を最後に点眼すること
・他点眼剤と併用する場合は10分間隔をあけること(チモプトールXEのIFより)
・点眼直後、霧視・べたつきが数分間持続することがある

1日2回点眼する必要があったチモプトール点眼液は、ゲル化剤を加えること徐放性を獲得し、1日1回点眼のチモプトールXE点眼液として発売され利便性が向上した実績があります。

ここで、既存で発売されている緑内障治療薬の配合点眼液(プロスタグランジン系とβ遮断薬の合剤)の成分を確認してみると、ザラカム配合点眼液、タプコム配合点眼液、デュオトラバ配合点眼液、いずれもゲル化剤を含んでいないことがわかりました。

各配合点眼液の用法と、それぞれを単体として使用した場合の用法を下記します。

・ザラカム配合点眼液:1回1滴 1日1回点眼する(貯法:2~8℃、遮光)
キサラタン点眼液0.005%:1回1滴 1日1回点眼する(プロスタグランジン系)
チモプトール点眼液0.5%:1回1滴 1日2回点眼する(β受容体遮断作用)

・タプコム配合点眼液:1回1滴 1日1回点眼する(貯法:気密容器、遮光、室温保存)
タプロス点眼液0.0015%:1回1滴 1日1回点眼する(プロスタグランジン系)
チモプトール点眼液0.5%:1回1滴 1日2回点眼する(β受容体遮断作用)

・デュオトラパ配合点眼液:1回1滴 1日1回点眼する(貯法:遮光・室温)
トラバタンズ点眼液0.004%:1回1滴 1日1回点眼する(プロスタグランジン系)
チモプトール点眼液0.5%:1回1滴 1日2回点眼する(β受容体遮断作用)

いずれの製剤も、それぞれ単剤で使用する場合はチモプトールを1日2回点眼する用法なのですが、配合剤になると1日1回に減少していることが分かります。

次に関連製剤の発売日を調べてみると
チモプトールXE:1999年11月(現MSDが製造承認)→(2014年に参天製薬へ承継)
チモロールXE(チモプトールXEのGE):2013年12月

ザラカム配合点眼液:2010年4月(ファイザー)
デュオトラバ配合点眼液:2010年6月(日本アルコン)
タプコム配合点眼液:2013年9月製造承認販売を取得(参天製薬)

発売日から、チモプトールXEのゲル化に関する特許の経緯について確認してみます。2013年12月チモプトールXEのジェネリック医薬品が発売されるのですが、ザラカム・デュオトラバ・タプコムが製造承認を取得しているのは2013年12月よりも以前の話です。そのため、これまで発売されている緑内障配合点眼液には特許の関係からゲル化剤を選択する余地はなかったように示唆されます。(個人的な示唆です)

念のためファイザーおよび参天製薬の学術に「配合点眼剤」の製造承認を得る時点で、ゲル化剤を含有する“チモロールXE”を配合剤として選択する可能性はあったかどうか確認したところ、いずれの学術からも「ない」という回答をえました。さらにゲル化剤を含有しなくても、眼圧下降効果については「既存の併用治療群と比して非劣性が確認されているため1日1回で問題ない」ことを確認しました。

ここまでで、「既存で発売されている緑内障配合点眼剤ザラカム・デュオトラバ・タプコムに含まれているβ受容体遮断薬は1日2回タイプの製剤(ゲル化製剤を含んでいない)ですが、1日1回点眼でも眼圧下降効果は非劣性が確認されている」ことがわかりました。




大塚製薬:ミケルナ配合点眼液は併用群と同程度の効果
次に、新規発売となるミケルナ配合点眼液について調べてみました。

ミケルナ配合点眼液:1回1滴 1日1回点眼する(貯法:室温)
キサラタン点眼液0.005%:1回1滴 1日1回点眼する(プロスタグランジン系)
ミケランLA点眼2%:1回1滴 1日1回点眼する(β受容体遮断作用)

添加物:アルギン酸(ゲル化剤):滞留性向上および持続性発揮のため添加されている
添加物:ポリソルベート80(非イオン界面活性剤):房水注へのβ遮断薬濃度を高めることができる

添加剤としてゲル化剤と界面活性剤を加えることで
世界で初めて1日1回製剤同士を配合した緑内障治療点眼液となっています。

ここで1つ“気にした方がいいのかな?”程度のことなのですが
「ラタノプロストでは1日2回点眼した場合に、点眼日数の増加に伴って眼圧下降作用の減弱がみられたとの報告がある」

この文面はキサラタン点眼(1993年時点での治験コード:PhXA41)のデータにおいて2週間のダブルブラインド試験の結果1日1回点眼により8.9mmHgの眼圧下降効果があったのに対して、1日2回(朝・夕)の点眼により7.1mmHgの眼圧下降効果があったという報告をもとにして記載されたものです。

2001年に、52日間ラタノプロストを1日1回使用した群と1日4回使用した群との比較データをおこなった報告がありますが、開始2~3日目までは1日4回使用した群の眼圧下降効果に有意差があったものの、それ以降は1日1回群との間に差はみられないと報告されています。
1993年ラタノプロスト点眼を1日2回投与したときのデータ




2001年ラタノプロスト点眼を1日4回投与した時のデータ
ミケルナ配合点眼液には持続性を高めるためのゲル化剤が含まれていますが、ラタノプロストを1日1回投与にゲル化剤がくわわることで、効果延長・力価低下という可能性はあるのかどうか大塚製薬学術に確認したところ

「眼内の血中濃度・薬物濃度がラタノプロスト1日1回単独投与群と変わらないため問題ないと考える」という回答をえました。添付文書に載っている薬物動態を見るとラタノプロストの血中濃度推移は、ほぼ同じに見えます。ラタノプロストで起こりうる「結膜充血」の副作用頻度も単剤と配合剤で同程度ですので、ゲル化剤の添加によるラタノプロストの薬効・副作用頻度の変動というのは気にしなくてよいように感じます。

むしろ、パッと見ではカルテオロールの血中濃度推移が低いデータとなっていることに目がいきます。点眼薬の場合、投与量が少ないため血漿中濃度としてはバラツキが出やすい印象がありますので、そのためかなぁと推測します。
(文章中には「カルテオロール(単剤)点眼時と比べてやや低く推移したものの明確な違いはみられなかった」と記されています。)

ミケルナ配合点眼薬は上記特徴に加えて「保存剤を含まない」「室温保存可能」「気密・遮光の必要なし」という特徴があります。保存剤がないため目にやさしく、保管もしやすいということは管理・使用する上で扱いやすい製剤といえます。実際使用する患者さんにとってメリットと感じます。

ミケルナ配合点眼剤が、既存の緑内障配合点眼剤のシェアをどれほど獲得できるか市場動向を注目したいと思います。


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