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夜間の胃内pH4以下(NAB)に対するPPIとH2ブロッカーの併用療法について [プロトンポンプ阻害剤(PPI)]

夜間の胃内pH4以下(NAB)に対するPPIとH2ブロッカーの併用療法について

PPIを服用しているにもかかわらず夜間の胃内pHが4以下となる状態が60分以上続く現象“nocturnal acid breakthrough(NAB)”についての理解を深めるためプロトンポンプ阻害剤PPIとH2ブロッカーの使用方法および併用効果に関する報告を調べてみました。

PPIとH2ブロッカーの効果と食事の影響について
PPIは食事によって胃のプロトンポンプが活動しているときに効果がでやすいため、食前または食後に服用した方が胃内pHへの効果が大きいといわれています。日本国内では他の併用薬と一緒に食後に服用することが多いですが、海外では食前に使用することが一般的です。PPIを寝る前(空腹時)に服用することは効果減弱につながると考えられます。

一方H2ブロッカーはPPIに比べて、食後の刺激酸分泌を抑制する効果は弱いものの、夜間空腹時の胃酸分泌抑制効果に関しては有用であるという評価を得ています。

このためNABに対してH2ブロッカーを就寝時に服用するという処方がなされることがあります。
PPIとH2ブロッカーの併用方法




NABの内科的治療におけるPPIとH2RAの併用について
NABに対してPPIとH2ブロッカーを併用した報告数は決して多くはないのですが、いくつか確認できたものを記します。

○オメプラゾール20mgを1日2回朝夕食前に服用し、就寝時にプラセボ、オメプラゾール20mg、ザンタック150mg、300mgを使用した結果、夜間胃内pH4以下となる割合は
プラセボ群:48%
オメプラゾール群:31%
ザンタック150mg群:5%
ザンタック300mg群:6%

○オメプラゾール20mgを1日2回服用し、就寝時にプラセボ、オメプラゾール20mg、ザンタック150mg、ザンタック300mgを使用した結果、プラセボに比してNABとなる率は
オメプラゾール群:58%
ザンタック150mg群:33%
ザンタック300mg群:25%
と減弱している。

○グループA:オメプラゾール20mgまたはタケプロン30mgを1日2回服用した群(n=60)
グループB:オメプラゾール20mgまたはタケプロン30mgを1日2回服用し、就寝時にザンタック300mgまたはガスター40mgまたはアシノン30mgを服用した群(n=45)
夜間の胃内pH4以上(中性に近い)となった割合はグループA51%、グループB96%とBの方が多かった。

グループC:PPI療法でNABが改善しなかったため就寝時のザンタック服用を追加した群
ラニチジンの追加により夜間胃内pH4以上となった割合は54.6%から96.5%に上昇した

○オメプラゾール20mg1日2回服用し、就寝時にプラセボを服用した群と、朝にオメプラゾール20mgを服用し、就寝時にザンタック150mgを服用した群を比較したデータでは、前者の方がNABを改善する率が高い(23.5% VS 44.8%)

○最近のプロスペクティブな研究によると、PPI治療として2週間オメプラゾール20mgを1日2回服用したあとに、PPI+就寝時H2RA治療としてオメプラゾール20mgを1日2回服用し就寝時にザンタック300mgを服用したデータを比較したところ、PPI+就寝時H2RA治療開始1日後で胃酸減少が認められたものの、1週間後または1か月後のPPI療法とPPI+就寝時H2RA治療とでは統計学的な有意差を確認することはできなかった。
ザンタック300mgを追加した群で長期的に有意差がでなかった要因として筆者らはH2ブロッカーの急速な耐性が生じたためと考察しており、NABの長期管理に対してH2ブロッカーを追加することは小さな影響しか与えないとしています。脂肪を多く含む食事を摂るまたはカクテルを飲むなどのように、胃酸が多くでる状況にさらされた後に断続的にPPI+H2ブロッカーの併用することは効果的であると示唆しています。

国内でのNABに対するPPIとH2ブロッカーに関する内科的治療を確認してみると、就寝前のH2RAの追加はNABの抑制効果があることが明らかになっているが、これがGERD患者の症状改善やQOL改善に寄与するか否かは十分に検討されていない。この方法により長期に症状のコントロールが可能であったとする報告がみられる一方で、H2RAの夜間分泌に対する耐性は1週間程度で発現するため、長期投与ではNAB抑制の効果が減弱することも指摘されている。PPIとH2RAの同時併用投与が保険診療上認められるか否かについても、個々の症状においての各都道府県の国民健康保険あるいは社会保険支払基金の判断にゆだねられているのが現状である。となっています。

逆流性食道炎の維持療法は患者さんの体感・主訴が重要ですので、1日2回のPPI療法やPPI+H2ブロッカー併用療法などの処方を見かけることがあれば、その処方意図および効果を十分理解して対応する必要があるかとおもいます。



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