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米国心不全管理ガイドラインによりアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(サクビトリル)が心不全治療のガイドラインでエビデンスレベルB-Rの評価を受ける [循環器]

米国心不全管理ガイドラインによりアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(サクビトリル)が心不全治療のガイドラインでエビデンスレベルB-Rの評価を受ける

アメリカの心不全管理ガイドラインが更新されました。その中で駆出率低下を伴う心不全に対する治療選択薬としてアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤であるサクビトリルが新たに追加されました。

サクビトリルは2016年現在「LCZ696(サクビトリル/バルサルタン)の合剤」として心不全適応における国内3相試験が行われています。

今回はアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤であるサクビトリルについて調べてみました。

~ネプリライシンとは~
細胞膜に埋め込まれている膜貫通型のタンパク質であり、タンパク分解酵素として働いています。生体内には広く分布しています。

その働きは脳および心臓において注目されており、脳ではアルツハイマー病の原因の1つとされている“βアミロイドタンパク質”を分解する働きがあります。心臓では血管拡張および利尿作用の働きを有する“ナトリウム利尿ペプチド”を分解する働きがあります。ネプリライシンはタンパク分解酵素ですので、基質となるタンパク質を分解することが仕事です。

(ネプリライシンはその他にもサブスタンスPやアンジオテンシンⅠ、ブラジキニン、ソマトスタチンなども分解する酵素としてしられています。)

このことから、ネプリライシンは脳においてアルツハイマー病を予防する効果がある一方で、心臓では心不全を引き起こす要因として作用するタンパク分解酵素ととらえることができます。

ノバルティス社が開発した「LCZ696」はネプリライシン阻害剤であるサクビトリルとバルサルタン(ディオバン)との合剤です。薬理作用としてはネプリライシンによるナトリウム利尿ペプチドの分解を阻害することで血管拡張および利尿促進作用を促し、心不全を軽減することが期待されています。さらに脳への移行量を減少させることで、アルツハイマー病の副作用を発症させずに、心不全の治療薬となりうる内服薬として注目されています。

現在、国内に類似薬はありませんが、類似ポイントを作用機序とする薬剤を考えますと点滴剤の「ハンプ」がヒト心房性ナトリウム利尿作用を有する薬剤です。また、利尿ホルモンを分解するタンパク質を阻害するのではなく、抗利尿ホルモンを阻害する薬としては内服薬の「サムスカ」があります。

いずれにしてもこの分野を作用機序とする医薬品は力価および薬価が高いイメージがありますので、その投与量には十分配慮する必要があるかと思います。

サクビトリル400mg+バルサルタン320mg/day VS エナラプリル20mg/day の効果比較

LCZ696はサクビトリル200mgとバルサルタン160mgが含まれた合剤です。1日2回1回1錠使用した時の効果をエナラプリル(レニベース)20mg/dayで服用した時の効果を比較したデータが、ディオバンでおなじみのノバルティス社から報告されています。
ノバルティスが助成する心不全に関するLCZ696臨床プログラム「FortiHFy試験」2016年5月27日




LCZ696の第三相試験の進行状況
報告内容によるとLCZ696服用群(4187例)とエナラプリル服用群(4212例)とに割り付けられ、追跡期間中央地27か月での解析によると、

全死亡例
LCZ696群:711例(心血管系が原因の死亡人数は558例)
エナラプリル群:835例(心血管系が原因の死亡人数は693例)
ハザード比:0.84 (95%信頼区間0.76~0.93 P<0.001)
心血管系が原因の死亡ハザード比:0.8(95%信頼区間0.71~0.89 P<0.001)
このデータよりLCZ696群はエナラプリル群に比べて死亡リスクが2割ほど減弱していることが読み取れます。また、心不全による入院リスクも20%以上減少するという報告もあります。

さらに、報告ではLCZ696群はエナラプリル群よりも降圧効果が大きい反面、血管浮腫の割合も高い。腎機能障害、高カリウム血症、咳症状の割合はエナラプリル群に比べて低いという内容となっています。

データは、すべてノバルティス社が助成する大規模臨床試験ということで、鵜呑みにしてよいかどうかは読み手によりことなるかとは思いますが、サクビトリルとARBとの合剤はACE阻害剤よりも心不全治療に有用である印象をうけます。サクビトリルとACE阻害剤との併用は血管浮腫を生じるおそれがあるため併用禁忌となっています。

国内での治験状況は2015年7月頃から第三相試験が行われており、2016年3月2日の時点では安全性情報について責任医師の見解に基づき、引き続き治験を実施することの妥当性が承認されています。国内で承認がおりるかどうか期待されるところです。



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