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ストロメクトール錠(イベルメクチン)の抗寄生虫作用について [抗寄生虫薬]

ストロメクトール錠(イベルメクチン)の抗寄生虫作用について

先日、ストロメクトール錠(イベルメクチン)のもととなる物質を発見し北里大学特別栄誉教授・大村智氏がノーベル賞を受賞しました。

日本国内でのストロメクトール錠の適応症は「腸管糞線虫症」と「疥癬」のいずれかしかありません。そのため私の場合、皮膚科門前の調剤薬局で勤務していても数カ月に一度ストロメクトール錠を手に取るかどうかという頻度の処方回数でした。
(近隣の病院患者に疥癬がでたため、その患者さんに関わっていた複数の医療従事者が予防投与として一度に同じ皮膚科を受診し、私が勤務している薬局に薬をもらいに来たという経験があります)

今回の報道を見て、ストロメクトールが国内外で使われ方が異なる医薬品であることを初めて知りました。そこで今回はストロメクトール錠(イベルメクチン)の発見経緯および世界での使用状況についてまとめてみました。

イベルメクチンは1973年静岡県伊東市川奈のゴルフ場近くの土壌で採取した「放射菌」の発酵産物から単理された「アベルメクチン類」から誘導された半合成経口駆虫薬です。当初、糞線虫治療薬として認可されたのですが、その後海外で疥癬治療薬としての有効性が確認されたため2006年8月に疥癬治療薬としての適応症が追加されたという経緯があります。




疥癬診療ガイドライン

一方、海外では「制圧しなければならない熱帯病」と位置づける17種類の「顧みられない熱帯病(NTD)」のうちの一つオンコセルカ症に対してイベルメクチンが使用されています。オンコセルカ症とはブユの吸血によりミクロフィラリアと呼ばれる線虫が体内に入り、白内障や角膜炎などの視力低下・失明につながる症状が発症する疾患です。またミクロフィラリアが皮膚に増殖すると激しい痛みを伴います。イベルメクチンを年1~2回使用することで線虫を駆除することができます。

またリンパ系フィラリア症という疾患にもイベルメクチンが使用されています。リンパ系フィラリア症とは寄生蠕虫のフィラリアが蚊を媒介として人に感染します。感染すると下肢リンパ系が腫れあがり足が象のように大きく腫れあがるというと症状が現れます(象皮病とも呼ばれます)

ストロメクトールは疥癬のみならず熱帯地域で発症している寄生虫疾患にも効果があることを知りました。またその作用機序が、線虫の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロライドチャネルを選択的かつ高い親和性を持って結合することで膜の透過性を上昇させ、細胞の過分極を促し、寄生虫を麻痺させて駆除するという独特な働きであることを知りました。同じ仕組みを持たない人にはほとんど副作用がなく、少量を服用するだけで高い効果を発揮するという特徴が魅力です。実際、疥癬でお薬をお渡しした患者さんも1~2回服用することで完治している印象をもっています。


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