So-net無料ブログ作成
検索選択
安定剤 ブログトップ
前の1件 | -

抗うつ薬(SSRI・SNRI・TCA・リフレックス(レメロン)の増量や変更について [安定剤]

抗うつ薬(SSRI・SNRI・TCA・リフレックス(レメロン)の増量や変更について

私事ですが、2016年になり年明けは精神科の門前薬局で勤務することが多い毎日です。昨年末のクリスマス・お正月という長期休暇を経て患者さんが病院へやってきます。精神科患者さんにとっては病院へ通院することは社会生活を維持する要因の一つですので、年末年始のような長期間のお休みをはさむと、病状が進行するケースを目にします。そのため年明け早々、処方箋内容がガラッと変わることも起こりえます。

抗うつ薬の一般的な変更方法は ” 漸減(だんだん減らして)・漸増(だんだんふやす)”と教科書には書いております。しかし実際の現場では”ガラッと変わる”ことをたびたび目にします。そこで今回は抗うつ薬の増量や変更についてまとめてみました。

SSRI:(ルボックス(デプロメール)・パキシル・ジェイゾロフト・レクサプロ)
SNRI:(サインバルタ・トレドミン・エフェクサー)
TCA(三環系抗うつ薬):トリプタノール・トフラニール・アナフラニール・アンプリット・スルモンチール・プロチアデン
その他:レスリン(デジレル)・ドグマチール・リフレックス(レメロン)
適応外:デパケン・テグレトール

~抗うつ薬の増量について~
一般的に三環系抗うつ薬の増量は有効であると考えられていますが、低用量から標準量程度では「有意差はない」とするメタ解析があります。緊急入院を必要とする重症例や入院患者では三環系抗うつ薬が有効であるという報告があります(APAガイドライン2010)。海外では外来患者に比べて入院患者で三環系抗うつ薬の使用量、使用率が比較的高い統計がありますが、国内においては使用率に有意差はありません。三環系抗うつ薬の過量内服はSSRIに比べて自殺既遂に至る確率が高いため外来処方する際は注意が必要です。

SSRIの増量効果に関しては十分なエビデンスがなく、否定的な見解もあります。「用量依存で効果が増加するタイプではない理由」になるかどうかはわかりませんが、一番最初に発売されたルボックス(デプロメール)には「年齢・症状に応じて適宜増減する」という記載がありますが、それ以降に発売したSSRIには「適宜増減」という記載はありません。
一方、SNRIの増量効果を示唆する報告はあります。

~抗うつ薬の変更~
第一選択薬を変更することで反応率や寛解率が上がることをしめした具体的な報告例というのは、厳密にはないといわれていますので、個々の症例で対応せざるを得ないというのが実情のようです。非常にまれな報告ですが、寛解率に有意差を認めた例としては
SSRIで治療に失敗した症例をイフェクサーSRカプセルへ切り替えで59.3%寛解
SSRIで治療に失敗した症例を他のSSRIまたはリフレックスへ切り替えで51.5%寛解
トフラニール無反応例をジェイゾロフトへ、ジェイゾロフト無反応例をトフラニールへ変更すると、いずれも寛解率、反応率に有意な改善を認めたという報告を確認しましたが、これらの報告は稀な例だと思います。ガイドラインにもありますが、基本的には寛解率に有意差がない報告が多数を占めています。
国内における抗うつ剤の使用状況




抗うつ剤のガイドライン
~適応外薬の使用例~
炭酸リチウム
有効血中濃度と中毒濃度が近いため血中濃度のモニタリングは必須です。
炭酸リチウムによる抗うつ効果の増強作用は8割程度指示されています。また、三環系抗うつ薬との併用は増強効果を示す一方、SSRIやSNRIとの併用で効果を発揮しにくいという報告があります。

チラーヂンS
三環系抗うつ薬との併用が支持されています。即効性が期待できる反面、SSRIとの併用で焦燥感や不眠が悪化する可能性があります。

ラミクタール
ラミクタールが抗うつ効果を増強効果を支持するエビデンスがあり、重症例で有効性が示唆されています。炭酸リチウムに匹敵する効果が示唆されており、抗うつ作用増強薬物としてラミクタールを位置付けているガイドラインもあります。皮膚疾患の副作用に注意が必要です。

エビリファイ
2~20mgという用量で有意差が認められています。しかし2~5mgという用量では有意差を認めなかったという報告があります。

セロクエル
先行する抗うつ剤治療に加えてセロクエル300mgを加えるとプラセボに比べて反応率に有意差を認めたデータがあります。一方でセロクエル47.3mgでは反応率に有意差を認めない報告があります。

リスペリドン
先行する抗うつ剤治療にリスペリドン(0.5~3mg)を加えると反応率に有意差を認めています。

抗うつ剤の増量や変更、他剤との併用に関するデータをいくつか確認してみましたが、明確な回答はなく、その時の個人の症状に応じた薬の選定をくり返すことが答えなのであろうという着地点しか見出せませんでした。薬局として患者さんにできることはコンプライアンスを下げない程度に副作用に関する理解・対処を説明すること、自己調節せず使用をつづけることお伝えすることでしょうか。

コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康
前の1件 | - 安定剤 ブログトップ
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村