So-net無料ブログ作成

肝斑と薬について [肝斑]

肝斑と薬について

皮膚科門前の調剤薬局で勤務していた時の話です。月に1~2回の頻度ですが、30代から40代の女性に「肝斑(かんぱん)」について質問を受ける機会がありました。いまだ原因ははっきりしておらず、薬やレーザーなどの治療法がいくつかあるようですが手探りな状態です。そこで薬に関して肝斑に関する情報収集してみました。

肝斑とは
目の外側から頬骨のあたりにできる左右対称の色素斑(シミのようなもの)輪郭はぼんやりしている。30代から40代の女性に発症するが60代以降では肝斑が薄くなったり消えたりすることが知られています。妊娠期や経口避妊薬が肝斑の発症と関係していることから女性ホルモンが肝斑の発症に起因していると考えられていますが、詳細はわかっていません。

トランサミン(トラネキサム酸):内服および外用塗布
シミの原因であるメラニン細胞(メラノサイト)へ、プラスミンおよびプラスミノーゲンが結合するとメラニンが生成促進因子が遊離・活性化してシミの色が濃くなります。トランサミンはプラスミンおよびプラスミノーゲンのリジン結合部位にくっつくことで、メラニン細胞へプラスミンおよびプラスミノーゲンが結合することを防ぎます。そのためトランサミンを飲むとメラニンの生成促進が阻害されてシミが作られなくなるというはたらきです。
トランサミンを4~6週間1日750~1500mg内服を続けると
改善36.4% やや改善40.8% 合計で76.8% に効果があったとしています
(比較データ:ビタミンC内服により 改善2% やや改善25% 合計で27%)
ただし、このデータはトランサミンを飲み続けることが条件となっており、内服を中止すると4~6週間で肝斑の濃さは治療前に戻っています。つまり、トランサミンは飲んでいる間だけ、肝斑を薄くする作用があることがわかります。最近、トランサミン入りの美容液が販売されていますが、外用で使用した場合もトランサミンの薬理作用を考慮すると、美容液を塗りつづけて少しずつ肝斑は薄くなるものの、塗るのをやめると肝斑はもとの濃さに戻ることが示唆されます。




トラネキサム酸と肝斑に関するデータ

タチオン(グルタチオン):内服or 注射
SH基を含むシステインとグルタミン酸、グリシンの3つのアミノ酸をくっつけた製剤です。SH基(チオール基)がメラニン合成時の必須酵素であるチロシナーゼを阻害することでメラニンによる色素沈着を阻害します。具体的には血液中のチロシンが酸化されてL-DOPAとなり、さらにDOPAキノンへと代謝されます。DOPAキノンは自然酸化でメラニンへと変わっていきます。チロシナーゼはチロシンからL-DOPA、L-DOPAからDOPAキノンへの二つの反応を触媒する酵素であるため、チロシナーゼを阻害することがメラニン合成阻害の鍵となります。グルタチオンに含まれるシステイン中のSH基(チオール基)はL-DOPAに結合し、チロシナーゼとL-DOPAとの結合を90%以上阻害することが明らかとなったいます(試験管内のデータです)
実際の臨床例ではグルタチオン:ビタミンC=1:2モル比に混合して1週間に2回注射を行ったデータで肝斑の改善が報告されています。
(グルタチオン・ビタミンC混合静注法の検討;出盛充啓)
グルタチオンに関しても、その薬理作用を考えると、トランサミン同様に内服(または注射)を続けている間は肝斑は薄くなる場合もあるかと思いますが、内服を中止すると数週間でもとの濃さに戻ることが示唆されます。

ザーネ軟膏
肝斑にはトレチノインという軟膏(?)が効果的という情報を良く目にします(日本では薬ではありません)。トレチノインとはビタミンA軟膏にカルボキシル基を付加して活性を高めたビタミンAの誘導体です。目にしたことがないため効き目は不明ですが、ビタミンAの効果を考えると皮膚の新陳代謝を上昇させることで細胞分裂を活発に行われ、新しい皮膚ができやすくなることでメラニンの沈着を阻害する働きが推測されます。保険医薬品で同様の成分を探してみると「ザーネ軟膏」があります(市販で売られているザーネクリームとは成分が異なります)。医薬品「ザーネ軟膏」はビタミンA軟膏です。皮膚の代謝を高めることで古い皮膚から新しい皮膚へ更新する働きがあります。トレチノインとザーネ軟膏を単純比較することはできませんが、カルボキシル基が付加されているトレチノインの方が数百倍効果が高いことが予測されます。肝斑対策にザーネ軟膏を塗った臨床成績がないため効果はわかりませんが、何も塗るものがない場合は、塗った方が何かの足しにはなるかもしれません。

まとめ
保険医薬品の範囲では、肝斑を消失させる医薬品を探し当てることはできませんでした。使用している間のみ、肝斑が薄くなる薬ならば見つけることができました。例えばですが、1ヶ月後に大切な写真撮影を控えているとか、1ヶ月後に一世一代の勝負日が待っているというスケジュールがあるのであれば、4週間だけトランサミンやタチオン、シナール等の「飲んでいる期間だけ肝斑が薄くなる可能性がある」薬を使用して、本番当日に臨むという選択肢はあるのかもしれません。


にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村


薬剤師 ブログランキングへ


コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:美容