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アリピプラゾールの薬価が先発品に比べて非常に安くなる仕組みと適応不一致による採用検討 [後発医薬品]

アリピプラゾールの薬価が先発品に比べて非常に安くなる仕組みと適応不一致による採用検討

2017年6月中旬にエビリファイ錠のジェネリック医薬品「アリピプラゾール錠/OD錠/内用液」が発売となります。
2017年6月発売の後発医薬品リスト




エビリファイ錠とアリピプラゾール錠の適応症不一致問題
承認申請されたメーカーは15社です。収載予定品目数が10銘柄を超えていますので、ジェネリック医薬品の薬価は先発医薬品の薬価の40%というルールが適用されます。

ここで「先発医薬品の薬価」に着目します。
エビリファイ錠12mg:297.8円

とされていますが、この薬価の詳細は
エビリファイ錠12mg:○○円×新薬創出加算(率)=297.8円(薬価)

新薬創出加算の加算率は(1.00~1.0541)までの幅が設けられており、医薬品の有用性により厚生労働省か加算率を決定します。この具体的な率は該当製薬メーカーへ連絡されますので、関係者以外知ることができません。

また、2年に一度の薬価改定を経ると薬価は減額されますが、新薬創出加算は新薬の薬価減額を軽減する働きがあるため、薬価改定ごとに新薬創出加算率は増えていきます。(下図参照)
後発医薬品の薬価が非常に安くなる理由.JPG
この新薬創出加算が加えられている先発医薬品についてジェネリック医薬品が発売されると、その薬価の低さに、びっくりすることがあります。2016年6月にジプレキサ錠のジェネリック医薬品「オランザピン」が発売されたときの例を記します。

ジプレキサ錠5mgの新薬創出加算を含む薬価:258.3円
新薬創出加算率:1.237365…
後発医薬品の薬価:新薬創出加算を除いた先発医薬品薬価の40%

上記の数値をもとに「オランザピン錠10mg」の薬価を計算すると
258.3円 ÷ 1.237365…(新薬創出加算率) × 0.4 = 83.5円

オランザピン錠5mgの薬価は83.5円と計算されます。
オランザピン錠の薬価は先発の68%OFF




適応症不一致ジェネリックの対策例
例えばですが、ジプレキサと類似する適応症をもつエビリファイ錠の新薬創出加算が「1.2」とした場合、2017年6月に発売されるアリピプラゾールの薬価がどの程度まで低下するか試算してみると

エビリファイ12mgの薬価:297.8円
297.8 ÷ 1.2(新薬創出加算) × 0.4 = 99.27円

アリピプラゾール12mg錠の薬価は100円前後と推測されます。先発品に比べて3分の1の薬価まで値下がりするわけです。

エビリファイ錠は高薬価の薬ですので、後発品を採用することは患者さん負担が減額され、薬局の在庫金額も減少します。これらの点はメリットとなります

さらに後発医薬品調剤体制加算の分母にエビリファイ錠の使用数量が加算されますので、エビリファイ錠の使用数量が多い薬局では、後発医薬品調剤体制加算を維持するために後発品の使用量を増やす必要があります。

一方で、エビリファイ錠が「統合失調症」「双極性障害における躁症状の改善」「うつ病・うつ状態」「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」という4つの適応を有しているのに対して、後発品であるアリピプラゾール錠には適応症が「統合失調症」しかありません。

この適応症の違いを理由に、入院病棟を有している精神科医院では院内における後発品の採用を見送ることを検討している施設があるという情報をチラホラ耳にしました。

院内処方・院外処方を問わず、薬を処方せんに記載するには適応症が必要ですので、この判断はしかるべきかと思います。

一方、調剤薬局で処方箋薬を調剤する際に、具体的な適応症を知るすべはありません。このため処方箋に一般名が記された薬を調剤する際に、アリピプラゾールのような適応症不一致医薬品を先発または後発で調剤するかに関しては、その薬局の判断に依存するところが大きくなっています。

エビリファイ12mgを1錠1×で30日間服用すれば医療費(10割)は9000円
アリピプラゾール12mgを1錠1×で30日間服用すれば医療費は3000円です。

適応症不一致問題について2012年1月30日以降、正式な回答はなされておらず、グレーゾーンとして放置しているのが実情です。
2012年1月30日適応症不一致に対する厚生労働省解釈




2017年6月発売予定のジェネリック医薬品のエクセルファイル(パスワード:1234)

・政府は医療費抑制に向けて後発医薬品の普及率を2020年までに8割以上にする方針を打ち出している

・病院は一般名で処方箋を発行すると3点の加算がある

・調剤薬局は後発医薬品の使用率が高ければ後発医薬品調剤体制加算を算定できる

上記の3項目が後発医薬品の使用を推進している政策であるとすると、適応症不一致ジェネリック医薬品は、まさにその“足かせ“でしかありません。回答はわかりませんが、病院にとっての正解と調剤薬局にとっての正解が一致しないおそれがある、なんとも不可解な保険制度になりかねないなぁと感じました。


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