So-net無料ブログ作成
検索選択

イボに対するヨクイニンエキスの効果を患者様へお伝えする [イボ(疣贅)]

イボに対するヨクイニンエキスの効果を患者様へお伝えする

ウイルスが原因で生じるイボ(青年性扁平疣贅、尋常性疣贅)の内服薬として“ヨクイニンエキス錠「コタロー」、ヨクイニンエキス散「コタロー」が処方されることがあります。
イボ治療の処方箋内服薬は“ヨクイニンエキス錠or散「コタロー」“しかありません。

「ヨクイニン」と名の付く医薬品は20種類ほどあるのですが、ヨクイニンエキス「コタロー」以外の製品は、いわゆる「生薬(漢方薬の1つの成分)」としての医薬品登録であるため、適応症がありません。このためイボ治療で処方される単独ヨクイニン製剤は「コタロー」のみとなります。
ヨクイニンの年齢別による有効率の検討




ヨクイニンエキス錠「コタロー」インタビューフォーム
さて、患者様へ「ヨクイニンエキス錠」をお渡しする際に、ある程度の治療成績をお伝えしたいところですが、ヨクイニンエキス錠のインタビューフォームには
治験データ・市販後データ:該当資料なし。
となっており、服用後の改善率がわかりません。

そこで、ヨクイニンエキスに関する数少ない報告例を拾い集めて、報告されている薬理作用と、治療成績についてまとめてみます。

イボ(ウイルス性疣贅)の原因はヒトパピローマウイルスによる感染ですので、その治療は抗ウイルス治療となります。

~ヨクイニンエキス錠について報告されている薬理作用~
・抹消血リンパ球サブセットにおいてNK活性細胞であるCD16+、CD57-、およびMHC非拘束性細胞障害性T細胞であるCD3+、CD56+の比率が増加したことから、抹消障害性リンパ球を増加させ、細胞障害活性の増強を介してウイルス感染の防止に有効であることを示唆する報告があります。

・好中球の産生する活性酸素を抑制し、好中球、リンパ球の細胞膜のメチルトランスフェラーゼ、ホスホリパーゼA2活性、プロスタグランジンE2分泌を有意に抑制することで、細胞の動的機能を正常に戻し、イボの治療を促進するという報告があります。

・活性酸素の産生を抑制することで、細胞膜の異常な状態を正常な状態へ戻し、膜の安定と正常な細胞の活動を維持させることでウイルス感染の防止に寄与するのではと推測されています。

・ポリクロナール抗体の産生を増強し、マクロファージ系細胞に作用してインターロイキンⅠの産生増強を介して抗体産生を増強することが確認されています。
ヨクイニン服用によるCD16、CD57、CD3、CD56の比率が増加した報告




ヨクイニンの薬理学的機序の検討
上記の報告例をまとめると、
「ヨクイニンエキス錠は、手先・足先などの抹消組織において免疫力をUPさせてウイルスを退治する生体機能を高めるはたらきと、細胞膜を安定化させてウイルス感染を防止するという報告例がある製剤ではありますが・・・。」
という感じで語尾を濁す感じがいいかと思います(添付文書やインタビューフォームに明確な薬理作用が記載されていないため)。

~ヨクイニンエキス上について報告されている臨床報告例~
・1990年に行われた報告
調査対象59名(生後7か月~60歳、男性28名、女性31名)
15歳未満の1日投与量:1.5~12錠/分2~3(平均6.6錠)
15歳以上の1日投与量:9~18錠/分3(平均13.錠)
投与期間:14~196日(平均47.8日)

効果判定
0~5歳:有効率71%(5/7人)
6~11歳:有効率74%(17/23人)
12~17歳:有効率57%(8/14人)
18歳以上:有効率20%(3/15人)
χ二乗検定による有意差あり

・1963年の報告
青年・成人を対象としたデータ:有効率30%

・1964年の報告
対象に乳幼児・学童がかなり含まれたデータ:有効率63%

・1965年の報告
青年・成人を対象としたデータ:有効率27%

・1993年の報告
青年性扁平疣贅に対するヨクイニンの有効性
改善以上:37.5%
やや改善以上:62.5%

尋常性疣贅に対するヨクイニンの有効性
改善以上:35.7%
やや改善以上:42.9%

1960年代のデータおよび1993年のデータについては詳細なデータを確認することができませんでしたが、有効率(改善度)に関しては、おおむね1990年のデータと類似する結果となっています。

尋常性疣贅は自然治癒することが知られていますが、自然治癒の場合少なくとも6カ月以上の期間を有する事から、上記データにおける有効率に関して、ヨクイニンエキス錠を服用したことが治療にとって有益な成果をもたらしたと考えて差し支えないと判断されています。
1990年ヨクイニンの年齢別の有効率




尋常性疣贅および青年性扁平疣贅に対するヨクイニンの有効率
上記の臨床報告をまとめると
一般的に西洋医学の飲み薬の有効率が6~7割と考えられています。症例数は少ないものの、ヨクイニンエキス錠の場合は11歳以下の子供が服用する場合、治療成績は7割程度で有効であるという報告がありますので有用な薬剤ととらえていいかもしれません。

12歳~17歳では57%、18歳以上では20%と大幅な治療成績の低下を示しています。加齢による皮膚代謝の低下に関連があるのか、ウイルスに対する免疫力の低下が原因なのかわかりませんが、加齢により有効率が低下しています。

18歳以上の患者様へヨクイニンエキス錠をお渡しする際に、このデータを具体的に説明する必要はないかと思いますが、効果がない薬を漫然と服用することは不幸なことですので「18歳以上の有効率20%、効果なし67%」という臨床報告があることは、頭の片隅にいれておいていいかもしれません。

ヨクイニンは市販薬しても購入することが可能です。
1日量1500~2000mg(1.5~2g)という感じで売られています。医療用医薬品で使用する場合は1日量2gで処方されることが多い印象がありますので、市販薬で買われる場合は用量を確認してみるといいかと思います。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村